第6回本航演『俯瞰する庭園』
2008/07/04~07/07@ザムザ阿佐谷
【あらすじ】
暗闇で目をぎらぎらと光らせながら、いつものようにこの猫科動物は悩んでいたのです。
「 腹が減るから獲物を狩るんだろうって?違う違う。
確かに腹は減るよ。でもそれ以上に狩るには目的があるのさ。
人間だって読みもしない小説を買ったり、さして高尚でもないのに高価なアンティークを集めたりするだろ?
だから野原を駆けるウサギなんかを見た日には、思わず飛びついちまう
ものなんだ。
愛らしいものは直行で胃袋へ。
でもなんなんだろうな。欲しいものを手にした瞬間に消えちまう、
この言いようの無い切なさってやつは。」
岩間をなぞる雨露をぽたぽたと額に受けながら、その蜥蜴はじっと耐えていたのです。
「 いっぱしの大人になったと思った頃には、周りには誰一人いやしない。
父親は誰だって母親に聞いても知らぬ存ぜぬで通されてきたが、
いざこうして独りになるとその父親の気持ちも母親のそっけない顔も、
なるほど理解できるものだな。
なぜなら種を残す以外にすることが何も無い。
興味を探っても種を残す、その行為から離れないと来たもんだ。
今までやった女?憶えちゃいないね。性懲りもなく別のビール瓶を空け
るみたいに、求めれば求めるほど乾いていくのさ。
飲み干したときには既に空っぽの瓶。
不思議なものだ。今まで恋焦がれ、求めていたものの声も姿も憶えていないと気づいたときは。」
魚たちは水中に弧を描いて、ただただ回遊するのです。
「 人は答えを見つけることができるから、弧を描くことを止められるんだ。頭がいいから?違うでしょ。割り切るのが早いだけで、答えはそんなに簡単じゃない。悲しいことがあって、それを割り切るために弧を描くのを止めるのは、本当に悲しみを理解している?楽しいこともまた同じ。踏み外したら楽しいことも薄れてしまうもんでしょ?
僕らは答えを探すことを放棄したわけじゃない。
ただ、割り切るだけの答えじゃ満足できないだけなんだ。」
男は眺めていた。獣たちの慟哭を黙って見つめていては、
失ったものを取り戻すことなどできないというのに。
【公演日程/劇場】
2008年7/4(金) ~7/7(月) @ ザムザ阿佐谷
【キャスト】
棟熊琢巳/川添美和/風見夢子
飯島紳互/鴻森久仁男/片山敦郎/蓑輪優花
【スタッフ】
脚本・演出=宇野正玖、舞台監督=今井侑吾、照明=酒井健太、音響=UNO
美術監督=nenne、衣裳=Judy、メイク=片山りやの、小道具=申理華
宣伝美術=黒田哲平、制作=人体連盟、企画製作=並木孝泰


